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2008年11月 4日 (火)

相通じるもの

この仕事をしていて、ワインと日本酒に共通点を感じることが数多くあります。

と書いたら、えっ!?と反論したくなる業界の方もいらっしゃるかも・・・

反対に、そうだねぇ~と賛同してくださる方もいらっしゃるかとも。

確かに同じ醸造酒ですからね。その共通点を私があげるならば

①食事との相性で楽しみの幅が広がること。 Pb0300922_4

②ヴィンテージ(その年の作物の出来や気候)で酒質が違うということ。

③造りのしっかりしたものは、熟成によって美味しく変化していくこと。

④造りのしっかりしたものは、開栓後、数日過ぎても美味しく楽しめること。開栓後にどんどん美味しくなるものがあります。

⑤味のバランスが重要であり、ポイントとなる酸が大切だという事。

Pb0300902 ⑥産地や原料の品種による個性があること。

⑦もちろん味は造り手によって大きく違うこと。

細かく表現しようとすると他にも沢山ありますが、

大雑把に感じるのはこんなことでしょうか。

あ、大きな事を見逃していました。どちらも、伝統のあるお酒なのに、

ビールなどの低アルコール酒に押され、自国では

年々飲まれなくなり廃業していく造り手が増えていること。

先日、ワインの輸入業者さんで伺った話で、とても考えさせられたお話を。Pb0300892_2

ドイツでも温暖化の異常気象で葡萄が過熟になり

上級クラスに補酸が認められた例外的な年の話を聞きました。

どのタイミングでどれだけ補酸するか、各蔵が苦闘するなか、ある蔵の経験を積んだ造り手さんが、

「こんな年が昔もあったが、補酸なんかしなくてもうちのワインは大丈夫だ。ワインの酸は大事だが、酸でもつわけではない」と言ったそうで

その言葉を信じて補酸しなかった所、数年してみて、結果的に長命の良い仕上がりになったそうです。

逆に補酸した蔵のワインはというと、加えた酸が上手く溶け込まず味がバラけてしまい、まとまりの無いバランスに仕上がったそうです。

私も、ワインは酸で持つ(熟成に耐えられる)と思っていたので、この言葉は驚きでしたが、

  果たして何で持つのか・・・?

ワインはミネラルで持つのだそうです。納得!このミネラルが時を経て色々な旨味に変化していくのでしょうね。

ミネラル豊かなワインになるには、やはり、ミネラル豊かな葡萄でなければなりません。

そうなるには肥料や農薬は極力使わずに、過酷な条件の中で地中深くに根を張った木が付ける実でワインを仕込む為に、葡萄作りからこだわるということです。

これって、日本酒のお米でも同じじゃないですか。うちで扱っているお米の生産者さんも、同じ考えです。

蔵元さんで案内して頂いた農家さんでもまた、同じような話をされていました。Pb0300912_2 

ましてやせっかく出来たお酒を濾過するなんて、ミネラルのいいところをわざわざ捨ててしまうようなもの。

余計なものを加えるのは、お酒の味のバランスをかえって壊してしまうことになります。

たまたま古本屋さんでみつけた、自然農法の本を読みかけなのですが、やはり同じような考え方のようです。

自然に逆らわずに、過保護にしない育て方、余計なものを加えないことの大切さは、様々な作物にも、お酒にもワインにも、相通じるものを感じます。

Pb0300882いま、盛んに自然派ワインや有機米の清酒が謳われていますが、

以前から、ラベルに記さなくてもそうして造っている蔵があります。一方で大きく謳っていても、味が追いついていないものもあります。

そのつくり手の真の心が伝わる本ものを、見極める目が必要な時代ですね。

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コメント

 「相通ずるもの」について、概ねご説ごもっともだと思います。
 付け加えるとすると私の考えでは、日本酒はワインに比べ、より杜氏をはじめとした作り手の力量が問われるように思われます。
 ワインの場合は、その年の葡萄の出来具合で、作り手では如何ともし難い状況があるやに聞いております。
 一方、日本酒の場合は、米の出来が悪かろうと、名杜氏と言われる方々はその経験に裏付けられた技により例年とほぼ同等の酒質の酒を醸すことが出来るようです。

投稿: 狼亭 | 2008年11月 4日 (火) 13時51分

>狼亭さん
玄米を農家さんから仕入れて、精米販売するようになって数年、
年によってお米の出来の違いを直接実感するので、
毎年、酒質を保つ酒造りをする杜氏さんは本当に凄いと尊敬します。

ワインと違って、日本酒はヴィンテージや熟成がまだまだ知られていないことが残念です。
それと、日本酒も若いうちは渋いお酒があることも。
渋いワインは受け入れられるのに渋いお酒はまだまだ受け入れられていませんね。

伝えなきゃいけないことが沢山。

投稿: tukui | 2008年11月 4日 (火) 18時07分

パチパチパチ♪
良いお話です♪
ミネラルで持つ・・って、言われてみればなるほどですよね。

それなら妊婦さんが飲んでも心配ない・・っていうのはちょっとダメかな。
昔会社でそういう話になったもので。
ワインは亜硫酸が入ってるから、それよりも麦芽100%のビールを飲んだほうが妊婦さんには良いのでは?と。

投稿: hirorin | 2008年11月 4日 (火) 19時32分

>hirorinさん
たまには酒屋らしく語ってみました。

いつも食べて呑んで、もしくはドジってばかりだから(苦笑

妊婦さんは飲んではいけません!って書いてありますよね。

そういえばママ友に保健師さんがいて、
彼女が妊娠中に和食屋さんで一緒にお酒呑んだっけ。
曰く「少しなら血液の循環が良くなっていいのよ♪」って。
なんか気が楽になったよ。もちろんちゃんと元気な子が生まれました。

亜硫酸塩は色々言われていますが、ワインに入っている分なら気にする程ではないと思っています。

麦芽100%のビールもいいんじゃないでしょうか。もちろん、純米酒も。
ただし、おっぱいあげてる人は絶対呑んではいけません。
赤ちゃんが酔っ払います。

投稿: tukui | 2008年11月 4日 (火) 20時35分

先日のお話もとてもためになりました。
いただいてきたワインは楽しみながら呑むことにします。

やっとワインに戻ってきましたから・・・

私が日本酒に戻るタイミングは何時になるのでしょうか。

投稿: gingetu | 2008年11月 4日 (火) 22時47分

>gingetuさん
やっとワインに戻ったんですね。
ワイン、出来たらお食事にあわせて欲しいです!
銀さん、手作りが多いから絶対逢う筈!

日本酒に戻るタイミングも、もうすぐかも(笑)

でもね、誰かと呑む方がいいから、まこっちゃんさんのとこで
一緒に楽しめる方向に向かうのがベストかな~って思ってます。

投稿: tukui | 2008年11月 4日 (火) 23時13分

うーん、いい話しだ~
同感です♪

ずいぶん前ですが、日本がお米不足になった時、有機栽培で作ったお米はちゃんと実りがあったという話しを何度か聞きました。

・・・ということは、具合が悪ければ薬に頼る私は何かあったら生き残れない!?かも

投稿: akiko | 2008年11月 5日 (水) 18時19分

>akikoさん
最近、抗菌グッズを使いすぎているから
かえって細菌に弱くなってるって聞きますよね。

落ちたものでも3秒ルールでフゥ~して食べるぐらいが丈夫になるって(笑

薬に頼らなければならない病気の人はともかく
それ以外はなるべく薬に頼らない方が確かに良いのかも。

どんな時でも食欲がなくならない私は、食べ物を薬代わりにしてますが
それもどうなんでしょう?

投稿: tukui | 2008年11月 5日 (水) 23時28分

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